親密な人間関係を築くために必要なこと②

<答え>同期行動

2016年、オックスフォード大学が「趣味で人間は幸せになれるのか?」という問題について調査をしました。

被験者は40代の男女が135人で、研究チームは実験のために「中年向けの習い事コース」を創設し、すべての被験者を「合唱クラス」「美術クラス」「創作文芸クラス」のいずれかに割り振りました。

7か月後、クラスを終えた被験者を調べたところ、おもしろい結果が得られました。すべてのグループにおいて、人生の満足度、自分に対する肯定感、炎症レベルの低下といった変化が確認されましたが、なかでも「合唱クラス」に参加した人の改善値が飛びぬけて高かったのです。
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研究チームは次のように言います。
「合唱クラスの成績が良かったのは、他の活動よりも他者との関係を結びやすかったからだろう。みんなで歌うという行為が、他のグループよりも全体感を高めてくれたのだ」

この現象を、心理学では「同期行動」と呼びます。
その名の通り他人と同じような動きをすることで、ナチスドイツ軍の一糸乱れぬ行進や北朝鮮で行われるマスゲームなど、集団の結束を高めるために昔から使われてきたテクニックです。そこまで行かずとも、かつて体育の時間で習ったラジオ体操なども同期行動の一種に入ります。
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信頼感の研究で有名なスコット・ウィルターマウス氏によれば、現代社会で同期行動を活かすには、次のポイントさえ押さえておけば問題ありません。

・全員が近い場所で行うこと
・同じタイミングで同じ行動をすること

この2つの条件が合えば、同期行動の内容はなんでも構いません。ランニングでもいいし、格闘技でもいいし、ジムで集団エクササイズをしてもいいでしょう。どれを選んでも親密さを高める効果は大きく、正しく使えばピグミー族による祝福の歌となり、悪用すれば独裁国家マスゲームになります。

(参考文献 最高の体調 鈴木裕 P134抜粋)


<感想> 高校生の時に、たまたま同じ係になった女子や、文化祭の準備を一緒にやった女子を好きになってしまった経験を思い出しました。恋愛も科学的に証明されているんですね。 現在で言えば、家族と晩御飯を一緒に食べたり、朝の挨拶をしたり、子供と一緒にランニングしたり、奥さんと一緒にテレビを見たり、一つ一つの行動が結束を高めることにつながっているということ。 また、職場でいえば、毎朝朝礼をみんなで実施したり、飲みに行った最後に一本締めをしたりという活動がチームの結束を高めている。 これを得意先に利用するのであれば、一つのプロジェクトに一緒に取り組んだり、一緒に食事をしたり、移動のためタクシーに乗ったり、何でも良さそうですね。 まずは接点を増やし同期できることがないか探して実施していくこと。 これですね。 f:id:toshimai:20200505052047j:plain