親密な人間関係を築くために必要なこと③

<答え>互恵

友情を築くための最後のポイントは「互恵」です。簡単に言えば、「好きな相手に利益をあたえること」となります。
f:id:toshimai:20200506050700j:plain
プレゼントで好きな異性の気を引こうとした経験は誰にでもあるでしょうが、ここでいう利益はもっと幅が広いものです。

古代社会の友情について考えてみましょう。人間の認知が処理できる親友の上限が5人ならば、私たちの祖先は、いったいどんな相手を仲間に選んできたのでしょうか?

普通に考えれば、自分が生き延びる確率を高めるために、様々なスキルに対して分散投資を行ったことでしょう。狩りが得意な者、火を起こすのがうまい者、歌と踊りが達者な者、健康的な体を持つ者など、なんらかの得意分野を持った仲間が増えるほど、自分の遺伝子を構成に残す比率は高まるからです。

この見方からすれば、現代で有利なのは、お金を持っている者、社会的な地位が高い者、頭が良い者、人間関係のネットワークが広い者などでしょう。身のふたもない結論ですが、新約聖書にいう「与えよ、さらば与えられん」は世の習い。友情をはぐくむには利益の与えあいが欠かせません。
f:id:toshimai:20200506051043j:plain
この考え方を、心理学の世界では「同盟仮設」と呼びます。人類は生き延びるためには、いざというときに助け合えるような仲間が欠かせず、そのため私たちは互いの利益になりそうな相手を友人に選ぶように進化してきたわけです。

そういわれると、「相手に与えられるようなものがない人間はどうすればいいのか?」といった疑問がわくかもしれません。そこまで利益の相互提供が大事なら、財力も特技もない者にはなすすべがないのではないか、と。
それは、大きな間違いです。というのも、どんな人でも、生まれつき最強の贈り物を必ず持っているからです。

私たちが他社に与えられる最強のプレゼントは「信頼」です。
f:id:toshimai:20200506051109j:plain
相手に「こいつは絶対に自分を裏切らない」と感じさせれば、そこには必ず強固な同盟関係が生まれます。マーク・トウェインが残した「彼は人を好きになることが好きだった。だから、人々は彼のことを好きだった」という一文は、科学的にも正しいのです。

相手に信頼感を抱かせるには向こうに好意を伝えるのが第一ですが、心理学で重視されているのが「セルフディスクロージャー」です。これは自分の悩みや秘密を隠さずに打ち明ける行為を意味しており、相手に対して「私はあなたのことを信頼しているからここまで話せるのだ」というシグナルとして働きます。

いかにも当たり前のようですが、実際のコミュニケーションで「セルフディスクロージャー」を成功させている人は多くありません。いきなり深刻な話をして引かれてしまったり、逆に浅すぎる情報を伝えて退屈させてしまったりと、適度なレベルを守るのは意外と難しいものです。
f:id:toshimai:20200506051130j:plain
そこで使えるのが、社会心理学者のゲイリー・ウッド氏による古典的な研究です。博士はいくつかの実験を繰り返し、「セルフディスクロージャー」を効果的に行うための話題を10種類のパターンにまとめました。

1 お金と健康に関する心配事
2 自分がイライラしてしまうこと
3 人生で幸福になれること、楽しいこと
4 自分が改善したいこと(体型、性格、なんらかのスキルなど)
5 自分の夢や目標、野望など
6 自分の性生活に関すること
7 自分の弱点やマイナス面
8 自分が怒ってしまう出来事について
9 自分の趣味や興味
10 恥ずかしかった体験、罪悪感を覚えた体験

これらの話題は、いずれも適切なレベルのセルフディスクロージャーを促進し、相手の心の「友達ランキング」を上げる効果をもっています。同盟関係を結びたい相手がいたら、ここから好きな話題をふっていくといいでしょう。

(参考文献 最高の体調 鈴木裕 P136抜粋)


<感想> 人と親密な人間関係を築くために必要な3番目の要素は、「互恵」つまり好きな相手に利益を与えること。私たちが他者に与えられる最強のプレゼントは「信頼」 相手に「こいつは絶対に自分を裏切らない」と感じさせれば、そこには必ず強固な同盟関係が生まれます。 相手に信頼感を抱かせるには向こうに好意を伝えるのが第一、心理学で重視されているのが「セルフディスクロージャー」つまり、自分の悩みや秘密を隠さずに打ち明ける行為、それにより、相手に対して信頼を伝える。 とても分かりやすい文献で、かつ上記10選のセルフディスクロージャースキルもかなり実践的で使えそうですね。 そういえば私も以前、子供が便秘で悩んでいるという話をたまたま得意先キーマンに話したことがあり、とても親身になってアドバイスをもらった経験があります。他にも、自分が今はまっていることを話したり、失敗談を笑い話にしたりすることで、得意先と打ち解けた経験もあります。 いざというときの為に、上記10選のセルフディスクロージャーネタを自分なりの話を用意しておくことが大事ですね。