スマホの使用時間が増えるとどうなる
<答え>不安が大きくなる
スマホは現代人の集中力を削ぎ、SNSはコミュニケーションの質を下げます。インターネットやスマホは私たちの生産性を高めた一方で、弊害ももたらしています。
アメリカ医療情報学会が「インターネットおよびビデオゲーム中毒」を正式な診断名に推奨したのは2008年のこと。ハーバード大学の調査によれば、ネットユーザーのうち5~10%は依存傾向にあり、回線につながらない状況では、彼らはギャンブル中毒に似た禁断症状を示します。
ほかにも、スマホの使用時間が長い者ほど社会不安のレベルが高いとのデータや、自宅でスマホを使い続けるひとは仕事のストレスが回復しないといった報告もあり、デジタルデバイスが現代人のメンタルに負荷をかけているのは間違いありません。
ネットのサイトやSNSが私たちの生産性を下げているのは自明でしょう。SNSの通知が来るたびに作業を中断したり、仕事中に急にツイッターやインスタグラムのタイムラインが気になって仕方なくなったりと、いずれも現代ではおなじみの光景です。
原始の森やサバンナでは、、情報の入手とコミュニケーションの有無が生存の成否をわけました。
効率のよい狩場はどこか?感染症に効く薬草はどれか?味方になりそうな者は誰か?厳しい環境を生き抜くには効率のよい情報収集が欠かせず、人類の脳は新しい情報や対人コミュニケーションに快感を覚えるシステムができあがってきました。
ネットとSNSは、この快感システムを刺激します。
クリックひとつで情報が手に入り、いつでもコミュニケーションが可能な状況は、進化の過程には存在しませんでした。難病ドラマやチャリティ番組を「感情ポルノ」と呼ぶことがありますが、その点では、いまのニュースサイトは「情報ポルノ」、SNSは「コミュニケーションポルノ」だと言えるでしょう。
しかし幸いにも、私たちの脳は柔軟性が高いため、超正常刺激のダメージは完全に復旧できることっがわかっています。
精神科医のノーマン・ドアッジによる研究では、性欲障害の患者がしばらくポルノ視聴を辞めたところ、興奮状態だった神経ネットワークが徐々に弱まり、元の状態をとりもどせたと言います。ドラッグ中毒者の治療と同じように、いったん超正常刺激を絶つ期間を作ればいいのです。
(参考文献 最高の体調 鈴木裕 P168抜粋)