男性脳vs女性脳

昨日の妻との会話。
「ねえ、最近コロナの影響で他県ナンバーの車に嫌がらせとかあるんだって!怖くない?」
夕食後のくつろぎタイムに妻は不安そうに私に話しかけてきた。私たち家族は転勤族の為、現在乗っている車のナンバーが県外ナンバーなのです。
「そうだね。気をつけなきゃだよね」私がそういうと妻はスマホを私に見せてきた。
「メルカリで『県外ナンバーですが○○県在住です』っていうステッカーが売ってるんだけどどうかな。」
妻の携帯には数パターンかのステッカーがありました。
「お!いいじゃん!買う?」
私がそういうと妻は笑みを浮かべ、さらに複数パターンのステッカーを見せてきた。
「GWが始まるしやっぱ必要だよね。こっちとこっとならどっちがいい?」
「う~んそうだなぁ、君の好きな方でいいんじゃないかな。」
私は当たり障りのない言葉を放った。
しかし、妻はそんな私の言葉を不満に思ったようだ。
「いや、そういうんじゃなくて、私ははっきりとした答えを聞きたいのよ。」
私は正直、このときどっちでもいいと思っていた。
どちらのステッカーも言いたい内容は伝わるし、どっちがいいか私にはわからない。
そう思った私はとりあえず適当に答えておこうと判断した。
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「う~ん。こっちかな」
すると妻は明らかに不満そうにこう言った。
「え、どうしてこっちじゃいけないの?うちの白い車にはこっちのほうが目立つと思わないの?」
なんてことだ。あんな上機嫌だった妻が、一気に不機嫌になってしまった。
しかし私だってそんな妻を傷つけるつもりで言ったわけじゃない。
むしろそんな反応をされるなんて心外だ。そして私は感情に任せて言ってはならない言葉を口にしてしまった。
「僕の意見を聞くつもりがないなら、はじめから聞くなよ。」

いかがでしょうか。だいぶ気まずいですね。
自分だったらこうしたよとか、過去に似たような経験をしたよとか、言いたいこと、つっこみたいこと盛沢山の会話ですよね。
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私はこの時「やってしまった」と思った瞬間、この状況どこかで聞いたことあるなと思いました。

以前読んだ本「話を聞かない男、地図がよめない女(アラン&バーバラ・ピーズ)」でまさに同じような内容が描かれていました。それから私は改めてその本を読み直してみました。

この本にも同じような夫婦のやり取りが載っておりましたのでそれを参考に、今回の私たちの状況について解説していきます。

まず、炎上したのは明らかでしたが、火が付いた場所はどこだったでしょうか。
そうです。「どっちのステッカーがいいか」あの質問ですよね。
あの質問に対する私の回答あたりから、煙がもくもくして、そこからの流れから一気に炎上しましたよね。

では今回の会話を一から振り返っていきましょう。
妻は今回テレビのニュースで、他県ナンバーの車への嫌がらせの状況を見て心配に想い、車に貼るステッカーを買いたいこと、そしてどのステッカーが良いかを私に相談してきた。
私が購入する意思表示をした際に、うれしそうな表情を見せた。そして、2つのパターンのステッカーに対する意見を私に求め、私が意見を言うと急に機嫌が悪くなった。
そこから察するに妻は、確定ではないにせよ、買いたいステッカーは多分こっちが良さそうかなくらいは決めていたはずです。
仮に決めていなかったとしても、自分だけでなく、私や子供のファッションも全て決める妻が、車の部分的なファッションの一部を何にするかという最終決定権を目のまえにいる私にゆだねるのかというと、これは非常に考えにくい。
であれば、99.9%の答えは彼女の頭の中にはあって、残りの0.1%を最終確認として、自分のパートナーに埋めてもらいたい。つまりステッカーはこれで間違いない。と背中を押してもらい、自信を持って最高の気分でステッカーを購入したかった。ただそれだけの可能性が高いわけです。
そう考えると、妻から「どっちがいい?」と聞かれた時に私がまずすべきだったのは、相手の中に応えがもうすでにあるかどうかの確認でした。
「君の好きな方でいいんじゃないか」というように突っ返すのではなくて、「もうどっちって決めているの?」と聞いて相手が不安げに「こっち」といえば、そこから選んだ理由を掘り下げます。
そして妻がなんか理由を言ったのであれば、それをしっかり拾って「あ~なるほど。確かにいいね。絶対そっちのほうがいいよ」と言って妻を不安と緊張から解放してあげるのが紳士的な対応といえたのではないかというわけです。
しかし、私は妻から出された質問を、純粋すぎるほど、文字通り解釈しました。つまり相手に答えがないと勝手に判断をし、まんまと答えてしまいました。
この場合、仮に当たりくじを引けばセーフかもしれませんが、ハズレをひいたらどうなるか。
相手のテンションはダダ下がりをし、炎上を免れることはできません。今回はまさに、ハズレをひいてしまったというわけですね。
ただ、どうでしょうか。私が悪いとか妻の心が狭いとか言いたくなる気持ちありますよね。十分伝わってきます。

そんな皆様に今からお話しをさせて頂くのは、コミュニケーションにおける男女の脳の使い方です。
こういった科学的な視点が加わりますと、また先ほどの会話に対する印象が変わってきます。
以下は〈話を聞かない男、地図がよめない女『アラン&バーバラ・ピーズ』〉からの学びです。
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まず私たちの頭の中には、イメージや直感をつかさどる右脳、言語や記憶をつかさどる左脳という二つの脳があるということはご存知だと思います。
結論、女性は、左脳と右脳を行ったり来たりしながら、情報を処理できるのに対し、多くの男性は女性ほどその連携がスムーズでないとされています。それが俗にいう、男性脳、女性脳の違いというわけです。
もう少し具体的に言うと、女性脳というのは、文字情報だけで判断解釈するのではなく、相手の顔の表情の変化や、声のトーンといった、非言語情報もキャッチし、相手が適当に答えているとか、本心ではないというところも含めて瞬時に分析し、総合的な解釈をすることが得意であると言われています。ですから男性が女性にばれないであろうと思って悪さしても、すぐに見抜かれてしまうのはそういう理由です。
その一方で男性脳は、言葉をその意味通り解釈する傾向があるとされています。言われてみれば、先ほどの私の事例でも「どっちがいい?」という妻からの問いかけに対し、私は文字通り言葉を受け取りました。そして、自分は今、答えを求められていると瞬時に判断し素直に答えたわけです。
確かに私だって、時間さえかければ、妻の言葉の裏には、もしかしたらこんな真意があったのではないかと論理的に分析し、振り返ることはできるはずなのです。
しかし、とっさの質問に対し瞬時に想像力を働かせ分析解釈し相手の求めている言葉をひねり出すというのは、至難の業で合ったということです。
そう考えると先ほどの会話も、どっちの性格がすごく悪いとか、感情的な解釈が少し薄まってきますよね。


この本は、20年以上前にベストセラーになり、男と女のバイブルとして非常に有名です。 男女には思考の働き方、感情の動き方に違いがあるのでお互いその傾向を理解しあって、良好な人間関係を築いていきましょうというものです。 人間関係に苦手意識がある方はまず読んで損はない作品だと思います。 特に最近は「コロナ離婚」「コロナ絶交」という言葉があるように、新型コロナウィルスが私たちの人間関係までむしばみ始めたことが大きな問題となっています。 そんな人対人との関係性、絆の強さが問われている今だからこそ、人間関係の本質にせまるような本作を振り返っておくことで、本当に大切なものとは何なのか、思い出すことができるかもしれません。 ちなみに今日私は、妻の大好物のケーキでも買って帰ろうかなと思ってます。 (参考文献 話を聞かない男、地図がよめない女『アラン&バーバラ・ピーズ』)