松下幸之助「獅子の崖落とし」

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獅子はわが子をわざと谷底に突き落とす。

はげしい気迫である。

きびしい仕打ちである。

だがその厳しさのなかで、幼い獅子は消してへこたれない。


必死である。

真剣である。

そして、いくたびかころび落ちながらも、一歩一歩谷底から這い上がる。

這い上がる中で、初めて自立を会得する。

他に依存せず、みずからのちからで歩むことの大事さを、みずからの身体でさとる。

つまり自得するのである。

そこから獅子本来のたくましさが芽生えてくる。
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自得するには、きびしさがいる。

勇気がいる。

ときには泣き出したいような、途方に暮れるようなこともあろう。

泣くもよし。

嘆くもよし。

しかし次の瞬間には、新たな勇気を生み出さねばならない。


きびしさこそ、自得への第一歩ではないか。

たくましい自立への道を、みずからさとる貴重な道しるべではないか。

勇気を出そう。

元気を出そう。


激動する世界のなかで、日本の国も容易でない。

だから、おたがい一人も決して容易ではない。


自得へのきびしい日々を覚悟したいものである。

(参考文献 道をひらく 松下幸之助
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(感想)

人の成長は現場での経験が7割と、以前何かの本で読んだ記憶があります。たしか「経験学習理論」と言われています。

この経験学習理論では、経験が大切。特にストレッチした経験が有効だと言われています。

このストレッチが曲者です。優秀な管理職は部下の力を良く見極めることで、その部下にとってどのあたりがストレッチな経験になるかを設定するのが上手です。

言い換えれば千尋の谷がどんな経験であるかを理解しています。そして、千尋の谷に突き落としても、必ずフォローしたり助け船を出してくれます。だから、部下を千尋の谷に落として育成できるのは優秀な管理職のみです。

ではもし、新人が獅子の崖落としを良しとする管理職を上司に持ってしまったらどうすればいいのでしょうか?

まずは助けが来ないこと前提に、自分から助けを求めるしかありません。上司でも、先輩でも、他部門の人でも構わないので分からないことは質問するしかありません。

大切なことはメモすること。しっかり挨拶すること。お礼も含めて。ジタバタしていれば、きっと助けてくれる人がいます。

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