頑固な人に考えを改めさせる方法とは

<答え>思い込みを再評価させる。
<実験>(参考 ある経営コンサルタントが行った実験)

経営者たちにお願いし、自社の従業員に「今の仕事について面白さを感じていますか?」という質問をしてもらいました。

「仕事は面白くないし、面白くできるものではない。」
「自分たちの仕事はいくら工夫をしても意味がない」
といった悲観的な回答をした従業員たちに、さらに2パターンの質問をしてもらいました。

質問1「なぜそのような仕事観をいもっているのか?」<結果>ほとんどの従業員が「仕事は面白くないものだ」という自分の考えに固執しました。

質問2「そう考えることで。仕事にどう役立っているか?」<結果>ほとんどの従業員はメリットがないことに気づき、そのうちの一部は「どうすれば、仕事を面白くできるのだろうか?」を考え始めました。

つまり「人の考え」は
理由をたずねると強化され、
目的をたずねると軟化する傾向がある。
<筆者の考え>
「なぜそんな風に考えるの?」と理由をたずねれば、相手の哲学はますます強化されます。
「なぜ」という言葉には、過去に意識を向けさせる効果があるからです。過去に意識を向ければ向けるほど、「自分は正しい」という確信を強めることになります。
思い込みは自分のアイデンティティを守るものであり、正しいか、間違っているかは本人にとっては重要ではありません。
思い込みを持っていると、(こういう時はこうだからこう)と、その思い込みに即した決断がスムーズにできます。
「苦手な味だ」と思い込んでいるからこそ、食べるか食べないか迷うことなく、はじめからレストランで注文しなくて済んでいるのです。
しかしその思い込みを持っていることによって、「本人が本当になりたい姿」へ近づいているのか、遠ざかっているのかという点はしっかりと再評価されるべきでしょう。
このプロセスは年末の大掃除によく似ています。年末に大掃除をすると、沢山の不用品が出てきます。なんでこんなものかったんだと疑問に思うものもあるでしょう。旅行先で目にとめた工芸品が、その土地の世界観の中では雰囲気があった。ところが自宅に持ち帰って飾ってみると、妙に周囲から浮いてしまい、置き場所に困った。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。今では場所をとって目障りになっているだけの代物でも、それを買った当時は「素敵だ」「便利そう」と思って買っていたのです。しかし部屋のスペースは限られていますから、定期的に「評価して捨てる」という見直しが必要になります。
思い込みも同様です。思い込みには、その当時は自分を守る為に必要であって作られたものでも、いま望んでいる状態に近づくためには、手放すべきものもたくさんあるはずなのです。私たちは無意識のうちに「自分はこういう人間だ」というアイデンティティと矛盾しないような行動をとり続けようとします。しかし実際は、昨日と同じものを好んだり、嫌ったり、同じような振る舞いをしなくてはならない理由はないのです。

その考えは、「今の自分にとって本当に有用なものか?」を考えてもらおう。
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<感想>
納得です!まさに年末の大掃除ですね!定期的に自分の考えを見直すことで、進化していかなくてはならないと思います。ただ、定期的といっても、いつ見直すのかは、自分では決めれません。逆に言うと、誰かと意見が衝突するときが、自分の意見を見直すチャンスなのかもしれません。誰かと衝突すると、自分の過去のアイデンティティを守る為に、かたくなに、頑固になってしまいがちです。ただ、それはあくまでも過去の価値観からくる自分の考えであって、現在の自分にとって本当に最善の考えなのかは、今一度立ち止まって考えなおす必要があります。そこで、今までの自分に固執して考えを変えなければ、そこでストップしてしまい、それ以上の成長が見込めません。しかし、その時に「今の自分にとって本当に有用なものか?」「もしかしたらこっちの考えの方が正しいのではないか?」と立ち止まって考えることが出来るかどうかが、いま以上に成長できるポイントなのかもしれません。ただ、考えた結果、今の考えが本当に正しいと思えれば、それが今の自分だとさらに確信してもいいと思います。大事なのは、相手から言われたことを、単純に自分の考えと違うから却下するのではなく、一旦立ち止まって本当にそうなのかと考えることだ。そこで考えるという行動が、自分を今以上の高みへと成長させてくれるのかと思います。
一方、自分ではない他者が頑固な場合は難しい。どうやって思い込みを再評価させることができるか。今回の実験を参考にすれば、相手に「理由」ではなく「目的」を投げかけること。例えば、「今までの経験上、プレゼンは結論から先に言うべきだ」という人がいたとき、「いやいや、相手の状況に応じて臨機応変に変えるべきでしょう」とそのまま直の意見を言うのではなく、プレゼンの目的をうまい具合に聞き出すことで、相手に立ち止まって考えるチャンスを与えること。この場合で言えば、「わかりました。ただ、今回のプレゼンの目的ってはなんでしょうか。相手の行動をうまくコントロールすることです。それを考えたとき、結論を先に言うことが、本当に正解でしょうか。」と。大事なのは。目的を考えるタイミングを相手に与えることで、その人の過去の考えを改めるきっかけを与えることなのかと思います。ただ、相手が考えた結果、自分のもともとの考えがやっぱり正しいと今まで以上に考えを強固にする場合もあります。人対人なので、最終的にどっちが正しいのかはわかりません。自分が自分がとなって熱くなってしまうと、議論も良い方向には進みません。こうなったときは、逆に自分の考えを振り返ることも必要かもしれません。頑固な人を変えさせたいと自分が頑固になってしまうと、自分も硬くなってしまい、議論がなにも進まなくなってしまうかもしれません。まずは自分が議論の目的について立ち止まり考えることが必要かもしれませんね。

参考文献 図解モチベーション大百科