寿命を伸ばし年収を上げる方法とは
<答え>明確な価値観を持つ
ナチスの強制収容所で4年を過ごした精神科医のヴィクトール・フランクル氏は、「夜と霧」にこう記しました。
「強制収容所の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的をもたせなければならなかった。被収容者を対象とした心理療法や精神衛生の治療の試みがしたがうべきは、ニーチェの的を得た格言だろう。
『なぜ生きるかを知っているものは、どのように生きることにも耐える』
したがって、被収容者には、彼らが生きる『なぜ』を、生きる目的を、ことあるごとに意識させ、現在のありようの悲惨な『どのように』に、つまり収容所生活のおぞましさに精神的に耐え、抵抗できるようにしてやらねばならない」
フランクル氏は、生涯を通して人生の意味の問題を追い続けた人物です。アウシュビッツでも生き延びる態度を崩さなかった彼はやがて、人間はむしろ人生から「価値観」を問われているのであり、それに責任をもって答えなくてはならない、との境地にいたりました。明確な「価値観」は、ナチスの迫害すら耐え抜くモチベーションを与えてくれるというのです。
事実、多くのデータがフランクル氏の結論を支持しています。
2014年にロチェスター大学が行ったコーホート研究所では、6千人の男女に「価値観を持って生きているか?」と尋ねたところ、この質問にイエスと答えた者は、14年後の死亡率が15%も低い傾向がありました。自分の「価値観」に沿って人生を生きている人ほど寿命が長いわけです。
データによれば、価値観が明確な人は自然と健康的な食事と運動を実践しているとのこと。この結果について研究チームは、「人間は人生に何等かの方向性が必要なのだろう」とコメントしています。
さらに、あなたの価値観は収入にも影響します。5千人のアメリカ人を10年ほど追跡したコーネル大学の調査では、自分の価値観に従って毎日を暮らす人ほど年収と貯金額が多く「人生の価値」の強さが標準偏差から1つ高くなるごとに、貯金額は244万円ずつ増えていました。
この傾向は、被験者の性格や人生の満足度を考慮しても変わりません。要するに、あなたが商売に不向きな性格だろうが、現在の感情が恵まれていなかろうが、人生の価値観を強く持っていれば年収も増えていきます。人生の価値観が、仕事のトラブルに対するバッファーとして働くからでしょう。
価値に沿って生きるほど日々の悩みは消え、自然と自分をいたわる行動が増えていきます。不安に立ち向かうには、まずああなたの「価値観」を見定めるべきです。
(参考文献 最高の体調 鈴木裕 P182抜粋)