親密な人間関係を築くために必要なこと①

<答え>一緒に過ごす時間の長さ

第一に重要な要素が「時間」です。
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アイオワ州立大学のダニエル・フルシュカ氏は、2010年のレビュー論文で「良好な友人関係を保つためにはなにが必要か?」を調べ上げました。個人の性格やコミュニケーションスキル、社会的地位など、人間関係に欠かせない要素の中から、重要度が低いものを取り除いていったのです。

結果、最後に残ったのは、「一緒に過ごす時間の長さ」でした。

「近接の原理」をご存知の方も多いでしょう。50年以上前に社会心理学者のセオドア・ニューコム氏が発見した現象で、簡単に言えば「人間は近くに住む相手ほど好意を抱きやすい」というものです。隣県の人よりも隣に住む人を、私たちは好ましいと思う傾向があります。

その理由は簡単で、近くに住むほど接触の時間が増えるからです。

心理学者のロバート・ボーンスタイン氏によるメタ分析では、「特別な刺激がなくても他者と接する時間を増やすだけで好意は増す」と結論づけています。つまり、親密な会話を交わしたり、一緒にイベントに参加したりせずとも、シンプルに相手の顔を見る回数が増えただけでも2人の仲は自動的に深まっていくわけです。
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進化の過程を考えれば、当然の現象でしょう。狩猟採集社会の小さなグループにおいては、わざわざ相手の性格やコミュニケーションスキルを審査する必要はありません。「どれだけ顔を見せたことがあるか?」さえ判断できれば、その時点で相手が部族の一員である証拠が得られ、互いの親密さも判断できるはずです。

そのため私たちの脳は、相手の顔になじみさえあれば、反射的に警戒心を解くように進化してきました。よく知った顔を見るだけでも感情の「脅威システム」はオフになり、代わりに「満足システム」が起動するのです。

孤独に悩む人にとっては、これほどシンプルな解決策もないでしょう。もしあなたが内向的で人見知りだったとしても、コミュニケーションに自信がなかったとしても、接触の時間さえ増やせば相手の好意は得られるのですから。

先のメタ分析によれば、この効果の影響が最大になる接触回数は10~20回とのこと。このレベルを達成するまでは、まずは淡々と接触を積み重ねていきましょう。

(参考文献 最高の体調 鈴木裕 P132抜粋)
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<感想>
私は食品メーカーに勤めるサラリーマンで、転勤がつきものです。だいたい3~4年に1回のペースで転勤があります。環境が変化するということは、良い面もあれば悪い面もあります。
悪い面としては、得意先が変わるため、新しい人間関係を一から築かねばならないことです。人間関係が良好になればなるほど売上にも影響してくるので、我々転勤族は、転勤してすぐに得意先キーマンと良好な関係を作ることから始めます。
この論文によると、性格やコミュニケーションスキルは関係なく、シンプルに相手の顔を見る回数が増やすだけで相手の好意は得られる。とあります。
転勤して間もないころは、接点が少ないため、とにかくキーマンとの接点を増やすことに意識を集中することが必要ですね。