ビル・ゲイツが相手を油断させた方法とは

2006年まで13年連続、世界長者番付で1位だった人物がいます。マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツです。
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彼がまだ若く、起業後にソフトウェアを開発していた時期、顧客に約束した納期が守れないことが、何度もありました。

しびれを切らした顧客が、ゲイツの事務所までおしかけてきたのです。

そのとき出てきたゲイツは、なんと髪がぼさぼさによれよれの汚いシャツ姿。

プログラムのため、会社の床で寝ていた彼の姿に、度肝を抜かれた顧客の幹部を前に、ゲイツはこのソフトが将来もたらすメリットを延々と述べたのです。

仕事でボロボロの若者の姿に衝撃を受けた相手は、ゲイツの話にすっかり呑まれます。将来の儲けを頭にイメージして、いい気分で事務所から帰って行ったのです。
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「作戦行動の要諦は、わざと敵のねらいにはまったふりをしながら、機をとらえて兵力を集中し、敵の一点に向けることである。そうすれば、千里の遠方に軍を送っても、敵の将軍を虜にすることができる」

ゲイツは顧客の視点を「現在の問題」から「未来の機会」に変えています。

追及しようとこぶしを固めてきた相手に、弁解や取り繕いは効きません。意表を突いたうえで、相手が最も喜び、関心がある話題に一転集中したのです。
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孫子ならどうする?〉
現在の損失を、将来の機会に置き換えて話す

(参考文献 実践版孫氏の兵法 鈴木博毅P114抜粋)


〈感想〉
ビルゲイツの逸話はいろいろ聞いたことがありますが、この話もすごいですね。ピンチはチャンスと言いますが、まさにそれを体現したエピソードです。

ビジネスにおいて約束を守れない、というのは致命的で大きなマイナスにつながります。しかし若きビルゲイツは何度も納期を守れなかったとあります。直接事務所まで来たくらいですから、得意先も相当お怒りだったのでしょう。それを黙らせてしまったというのですからたいしたものです。

ここでのポイントは、ビルゲイツが納期を守れなかったことに対する言い訳をしているのではなく、将来の儲けに話をスライドさせたことです。
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相手が最も望んでいることは、ビルに謝罪をしてもらいたいのではなく、「ビジネスを良き方向に進めたい=儲けたい」という目的を達成させてあげること。
であれば、その目的を達成させる方向へ話をスライドさせれば、相手を簡単にコントロールできるっていうことですね。

これを一般化させると、

「相手が怒っているとき、目のまえの問題よりも、相手が本当に求めていることに話題をスライドさせれば怒りは静まる」ということ

ただ、これはビルだからこそできたことで、実際の社会でこれと同じようなことをしても絶対に失敗すると思うので気をつけましょうね。

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