孫氏の考える信頼出来ないビジネスマンとは

<答え>依存するもの

依存するものは、敗者となる。
これは『孫子』に貫かれた重要な法則の一つです。
依存とは難しい言葉かもしれません。簡単に言えば「すべてが都合よくいった場合」を前提としていることです。

「戦争においては、敵の来襲がないことに期待をかけるのではなく、敵に来襲を断念させるような、わが備えを頼みとするのである。敵の攻撃がないことに期待をかけるのではなく、敵に攻撃の隙を与えないような、わが守りを頼みとするのである」
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「敵の来襲がないことに期待をかける」のは、こちらの願望にすぎません。
相手が来襲しない、攻撃しないことに、自国の平和が依存しているのです。

これは都合のよいかってな前提です。
相手に依存した平和は、崩れやすい。
依存することが多いほど、崩れやすい。

この会社をクビになったら、食べていけない。
これでは現在の会社に依存していることになります。
会社をクビになっても、転職のスキルがあれば生きてゆけます。

「この一社に」自分の生活が依存しなくなるのです。
孫子の考える「もろい人間」は、次の特徴をもちます。

◎依存していることが多すぎて、勝利までたどり着けない人
◎勝算を高めず、希望的観測ばかりする人
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少しでも予想外のことが起きればすぐ瓦解する。
依存が多いとは、そういう状態です。

孫子』は、相争う戦国時代に生き残るための書です。だからこそ「依存するもろさ」を徹底的に嫌いました。
孫子が目指す「不敗」「盤石さ」から、一番遠い存在だからです。

依存する弱さとはどんな状態か?

あなたが野外のイベントを計画していた場合。
当日の天気が運よく晴れならば、なんの問題もありません。しかし雨が降れば、どうなるか。雨天の対策がなければ、イベントは開催できず失敗です。

雨天の予備会場や雨天対策があれば、その心配はありません。天気に依存せず、イベントを開くことができるからです。

これは「天気へ依存」を脱却した状態です。
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地震が来なければ、安全な家です。そんな売り文句の家に、誰も安心して住めません。住人の安全は「地震が来ない」という幸運(偶然)に依存しているからです。依存からの脱却には「地震が来ても安全」な構造が必要です。

依存とはもろさです。
依存している状態とは、もろい状態です。
自分に都合のよい前提に頼るからもろいのです。
偶然敵が攻めてこないから、国が平和である。
偶然晴れたから、イベントが開催できた。

ところが、人生運河よいときだけではありません。
想定外は、一番起きて欲しくないときに起きる。

孫子は依存を嫌うからこそ「不敗」なのです。
雨が降ってもイベントが問題なく開催できる手配。
孫子なら「雨も趣があってよいものじゃ」と微笑んでいられます。

晴れに依存していたイベント会社は、膨大な損失に頭を抱えているでしょう。
<孫子ならどうする?>
想定外が起きても、目的を達成できる手配をしておく

(参考 実践版 孫子の兵法 鈴木博毅 P68抜粋)


<感想> 本当にわかります。自分自身がまわりに依存している状態ほど怖いことってありません。 私は転勤族なので、3~4年に1回のペースで勤務地と得意先が変わります。この仕事をしていて何が一番怖いかというと、転勤してまもないころの、依存状態です。 新しい環境になると、まず会話が出来ません。得意先によって専門的な言葉やニュアンスがあり、それがわかるまでに最低でも半年はかかるので、その間は本当に依存状態です。 何が正しいかがわからない状態が続き、精神的にもつらい時期です。何かミスがあって、得意先に怒られて学んで成長する。 前任者との引継ぎももちろんありますが、1週間程度で全てを受けることは不可能です。基本的には自分が積極的に得意先に近づく努力の中で、自分自身の得意先レベルを上げていくことでしかこの依存状態は脱却できません。 f:id:toshimai:20200520052235j:plain ただ、これは競合他社含め状況は同じです。その中で少しでも差をつけることができるかがポイント。 私が実践していることを以下5つにまとめました。 ■得意先との心理的な距離感を縮めるためにやっていること5つ ・得意先からの依頼・要望は全力で応える ・得意先をよく知るキーマンとコンタクトを深める ・わからないことはとにかくわかるまで聞く(前任者・得意先・キーマン) ・飲み会等、懇親の機会を増やす ・会社用の携帯の待ち受けを得意先キーマンにする 状況はみな同じですので上記5選をどれだけ愚直にやり続けることができるかどうかが、転勤時直後の精神安定にとってとても重要となります。 人によっては、新しい得意先とうまくいかずに鬱病になる人もいます。自分自身の心の平安のためにも、周りへの依存状況を少しでも早めに脱却することが本当に大事かと思います。